Yチェアの張り替え②
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Yチェアは、前後と左右で座枠の高さがずれていて、
その構造のおかげで、無理なくペーパーコードを張る事ができます。
一番最初に、前座枠と後座枠の長さを均等にするためペーパーコードを巻き、
その後は同じ動きを繰り返していきます。

同じ動きとはいえ、ペーパーコードが重ならないように、
また、全ての辺が均等に編み進められるように、
微調整を行いながら作業が進んでいきます。

美しく編まれていく過程は、ずっと見ていたくなるような心地良さでしたが、
気がつけばあっという間に座面が完成!
ご説明をして頂きながら、1時間で編み上がりました。
通常はYチェア一脚を40分ほどで編み上げるとのこと。
早く、正確に、編み続けることが出来ないと、仕事としては成り立たない
と坂本さんは語ります。
出来上がったYチェアに座ると、驚くほどしっかりと硬さのある座面で
思わず「おお〜!」と声が出てしまいました。
張り直す前の、使い込まれたYチェアと比較すると、
座っているうちに編みが緩み、凹んできていたことが分かります。
ピンと張った座面は、きちんと奥まで腰掛けることが出来て、
自分の背筋も伸びるような気持ちになりました。

職人さんがカッコ良く見えるのは、
繰り返し向き合ってきた時間や経験、技術が
手の使い方、動き方ひとつひとつから垣間見えるからかもしれない。
出来上がったモノの完璧さや美しさに、
こちらの気持ちまで引き締まるからかもしれない。
と、そんなことを思いながら、Yチェア張り替え見学は終了しました。


Yチェアの張り替え後、実は違った編み方も見させて頂きました!
平編みという、縦に通ったペーパーコードに対して、横から交互に通していく編み方です。
座枠の内側に打ち込んだ専用の釘に、ペーパーコードを引っ掛けながら編み進めます。

こちらは少しだけ体験させて頂いたのですが、緩まないようにグッと引っ張るときの力加減や、
意外と固いペーパーコードの扱いに悪戦苦闘してしまいました。
思っていたよりもずっとずっと難しい…!
今回、沢山の学びがある貴重な時間を過ごさせて頂きました。
sim designの坂本さん、ありがとうございました!!


(sim designさんのHPはこちらから)
最後に…やっぱり物づくりは、奥が深くて面白い!!
〈参考文献〉
「Yチェアの秘密」著者:坂本茂・西川栄明
発行所:株式会社 誠文堂新光社 / 発行日:2016年7月15日
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