Yチェアの張り替え①

       昨日、お客様からYチェアの座面張り替えのご依頼を頂きました。

       座面のペーパーコードが緩み、一部切れてしまっています。

       Yチェアとは、1950年の発売以来、何十万脚も生産されている名作椅子です。

       デンマークを代表する家具デザイナー、ハンスJ.ウェグナーが手掛け、

       北欧デザインの椅子として日本でも揺るぎない人気があります。

       座面のペーパーコード編みは、一脚ずつ手作業で行われており、

       しっかりと編まれていれば10年ほど保つとも言われています。

       あまりお目にかかることの出来ないYチェアの張り替え。

       その様子を見学させて頂けることになりました!

       ペーパーコードの張り替えをして下さるのは、sim designの坂本茂さん。

       国内家具工場・デンマークの家具メーカーで、

       20年以上張り替え・修理の経験をお持ちの職人さんです。

       工房にお邪魔すると、新品のように綺麗な張り替え後の椅子が沢山…!

       お客様からお預かりしたYチェアは、古いペーパーコードを取り去り、

       座枠が見える状態で作業台に固定されていました。

       坂本さんに張り替えをして頂きながら、様々なお話をお伺い致しました。

       今回は、その一部をご紹介させて頂きます!

       Yチェアの座面に使われているペーパーコードは、紙を撚って作られています。

       ペーパーコードが誕生する以前は、ラッシュやシーグラスといった天然素材を

       用いていましたが、戦争などの影響で天然素材が手に入りずらくなったことや、

       工業製品としての製造に適したものを検討する中で、

       ペーパーコードが主流となったと思われます。

       坂本さんの工房でお使いのペーパーコードはデンマーク製。

       一般的によく見かけるナチュラルなブラウンの他に、

       色付きのブラックやホワイトもあります。

       Yチェアの編み方は「封筒編み」と呼ばれています。

       確かに、出来上がると封筒のようなパターンになっています!

       封筒編みは、特別な張り方という訳ではありませんが、

       見た目が美しく、また耐久性のある座面を編むには技術を要します。

       ペーパーコードの張り替えをはじめて見学した私ですが、

       坂本さんの手捌き、熟練の技が、

       ピンと張った均等な編み目を生み出していることは一目瞭然でした。

       (封筒編みの方法は、ご紹介すると大変長文になってしまうため

       詳しくはインターネットで検索頂くか、もしくはsim designさんHPよりご確認ください。)

       Yチェアは1脚につきおよそ120mのペーパーコードを使用するので、

       短く切ったものを継ぎ足しながら編んでいきます。

       手繰り寄せる際に絡まないよう、

       また同じ張力を保つことが出来るよう、扱いやすい長さにします。

       ここで私が疑問に思ったのは、「結び目から緩まないのかな?」ということ。

       結論から申し上げると、椅子に座りテンションがかかる事で、

       むしろ外れにくくなる結び方がなされているんです…!

       それが、旗結びという結び方。

       国旗を掲揚するとき用いられる方法で、外れにくく、外しやすいという魔法のような結び方です。

       結び目は、編み込んだ下にくるように隠して編んでいきます。

→ Yチェアの張り替え②に続く

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